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株式投資で3,000万円貯まったので北海道移住してみた

書評「わが投資術」なのに投資術が書いていない?!

 どうも、おらくるです。2024/3/1に、日本一の長者番付に輝いたことのある清原達郎氏の著書が発売されました。タイトルは「わが投資術 市場は誰に微笑むか」です。発売開始したばかりにも関わらず、在庫なしの書店が多く手に入れるのに苦労しました。こちらの本を読んだので読書感想文を書きたいと思います。

著者紹介

 清原達郎。東京大学教養学部)卒業→野村證券入社→スタンフォード大学MBAを取得→ゴールドマンサックス→モルガン・スタンレー証券スパークス投資顧問→自身のファンド、タワー投資顧問で基幹ファンド「タワーK1ファンド」設立。個人資産は800億円超で2005年に長者番付で1位となったことのある、経営者兼投資家。短期売買のバリュー投資家。咽頭がんで声帯を失い、引退を決めたいま、本書で株式投資のノウハウを明かすことにします。

 

本の内容

 319ページ。1,980円(税込み)

 

 本の構成と内容は、「自伝、投資用語の説明+持論、売買履歴+説明」がメインでした。エリート街道を歩んできた、清原氏の自伝は読んでいて楽しかったです。特に過去の野村證券のディスりが爽快でした。(後述)

 

 ネットキャッシュ比率やトレンドフォロー等、投資用語も多々でてきます。それらについての解説や、最近話題のPBRについて役に立たないといった持論も述べています。PBRは解散価値ともいわれていますが、そもそも上場会社で解散する会社などほとんどないのだから参考にすべきではないとのことです。

 

 売買履歴に関しては、複数の銘柄について述べています。実際に経営者に会って、経営者の魅力に惹かれ投資したことやオリンパスファナックになぜ投資したのかも詳細に書かれています。

 

面白かったエピソード

 ①40年前の野村證券の内部について赤裸々に述べています。現在はガバナンス強化により、体質が良化したとのことですが、昔は顧客を騙す詐欺集団だったようです。顧客の儲けは全く考えず、高くてすぐに買っても売却したくなる銘柄ばかり顧客に勧め、売却時に発生する売却手数料で儲けていたとのことでした。

 

 ②野村證券勤務時、上司が現在SBIホールディングスのCEOの北尾吉孝だったようです。両者とも出世の見込みのない、海外部門(花形ではない部署)に所属していて、退職し大金持ちになっているのをみて、会社の人事って適当・見る目ないなぁと思いました。

 

 ③著者がファンドを設立した後、ジョージソロス(大成功したハンガリー生まれのユダヤ人)との出会いがあったようです。ソロスから、「今のヘッジファンドはサラリーマン化しすぎている。リスクマネージャーから、リスク管理についてうるさく言われる。自分のアイデアに自信があるときは力いっぱい勝負しなさい」と言われたそうです。ユダヤ人のオプション好きに対し、日本人とは考えが違うことを述べていました。

 

投資術はどこ?

 この本に投資術の記述は微々たるもので、ガッカリする方もいるかもしれません。(ロングとショートの売買履歴になぜその投資をしたかの説明があるので、これを投資術と捉えて良いと言えば、良いですが。)簡単にですが、個人投資家向けに書かれていたのは、

 

 ・ネットキャッシュ比率も使う

 ・TOPIX連動ETF50%、個別小型株50%

 ・小型株でPBRとPERで割安のもの

 ・大型株は複雑なのでやらない

 ・グロース市場銘柄は中身が冴えないのに

  高PERなので買わない

 ・空売り、ESG投資、未公開株投資はNG

 ・金融商品の手数料に注意する

 

ダメな点

 独特な方という印象を受けます。語尾が「~はねえ」を乱用していて、イライラするし、うるさく感じます。また、例え話や例が微妙です。P24に「教科書に書かれているから正しいと思うな」とあるのですが、投資に絡めて説明すれば良いものの、なぜか「血友病という病気が教科書に書かれていることと違う」という例がでてきます。

 

 投資の説明についても同様で少し難しいと思う方が多いと思います。ETFの積み立てしかしていない人、投資の初心者・中級者も理解ができないと思います。個別銘柄投資や金融業界の知見のある方であれば、問題なく読めると思います。

 

Rating: ★★★

総評:

  評価は難しかったですが、満点をつけました。評価が難しかった理由は、楽しい部分がある反面悪い部分も多々見られたからです。しかし、赤裸々に金融業界の内情や投資の成功・失敗を述べていて、読み物として楽しかったので満点にしました。

 

 投資の一発屋で成功した浅はかな知識の方ではなく、武勇伝もなく、好感の持てる本でした。

 

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